現金を銀行で保有するだけでなく、つみたてNISAやiDeCoが代表するように、昨今は積極的な投資による資産形成を行う人々が増えてきました。そして、このような状況の中で、ポートフォリオに暗号資産(仮想通貨)を追加するケースも多くなっています。
一方で、一言で暗号資産と言っても、ビットコインとアルトコインでは特徴に違いがあり、投資価値も異なります。したがって本記事では、ビットコインとアルトコインの異なるポイントを解説し、どちらが良い投資先であるのか詳しく解説します。
ビットコインの技術的特徴と投資価値
2009年に正体不明のサトシ・ナカモトによって作成された、最初の暗号資産であるビットコイン。デジタルゴールドとも称されるビットコインは、現時点ですでに1,000万円を超える市場価値を付けています。
また、総供給量は2,100万BTCに固定されていることから希少性があり、これがビットコインを価値付けるための基盤となっています。さらに、4月20日(土)にはビットコインは4回目となる半減期を迎えたことで、供給量は1日あたり900枚から450枚に半減しています。
技術的な特徴として、ビットコインはSHA-256ハッシュ関数を用いたプルーフ・オブ・ワーク(PoW)コンセンサスアルゴリズムを採用しており、高いセキュリティと取引の信頼性が確保されています。
そして現在、長年にわたる市場の信頼性と安定性、さらに最近では米国証券取引委員会(SEC)による現物ETF承認が相まり、長期的な価値保存手段としての揺るぎない地位を確立しています。
アルトコインの技術的特徴と投資価値
アルトコインは、ビットコイン以外のすべての暗号資産を指します。そして、市場の認知度や信頼性がビットコインほど高くないものの、各コインはそれぞれビットコインが持たない独自の技術的特性や用途を持ち、特定のニーズに応じた機能を提供します。
たとえば、現時点で59万円以上の市場価値を持ち、ビットコインに次ぐ巨大な暗号資産であるイーサリアムもアルトコインの1つです。イーサリアムはブロックチェーン上で自動的に契約を実行するスマートコントラクト機能を持ち、分散型アプリケーション(DApps)の開発をサポートする点に技術的特徴があります。また、イーサリアムはアルトコインとして、ネットワーク内の取引手数料や計算リソースの支払いに使用されます。そして、DeFiやNFT、さらには日常のエンターテインメントの世界にまでエコシステムを拡大し続けることで、投資価値を生み出しています。
また、暗号資産全体の市場価値ランキングで7位に位置するリップルは、銀行間のリアルタイム送金を実現し、低コストで迅速な取引が可能するアルトコインです。具体的には、国際送金を素早く低コストで行うための技術「XRPレジャー」により、送金処理を数秒で完了させることができます。そのため、リップルは既に多くの金融機関と提携しており、国際送金市場での需要が向上しています。
他にも、SECが次の現物ETFの承認を行う暗号資産になるのではと、有識者の間で話題を呼んでいるソラナも特徴的な技術を誇るアルトコインです。プルーフ・オブ・ヒストリー(PoH)とプルーフ・オブ・ステーク(PoS)のハイブリッドアルゴリズムを採用しており、この設計により、1秒あたり65,000トランザクションの処理が可能です。同時に、取引手数料も非常に低く抑えることができます。したがって、現在多くのプロジェクトがソラナ上で展開されており、これがさらにソラナの価値を高めています。
ビットコインとアルトコイン、どちらに投資すべきか
ビットコインとアルトコインの投資について、どちらに投資するかは、投資家の目標とリスク許容度に応じて慎重に判断する必要があります。判断材料として、以下のポイントに気をつけて投資を検討するようにしましょう。
まず、ビットコインは、その供給量が固定されており、中央集権的な管理がないため、インフレに強いです。したがって、長期的な価値保存手段として、多くの機関投資家や企業がビットコインを採用しているため、市場の流動性が高く、取引が活発です。しかし、ビットコインの取引速度は遅く、確認時間が約10分かかること、取引手数料が高騰することがあり、環境への影響も懸念されています。特に、ビットコインの採掘には大量の電力が必要であり、エネルギー消費が大きな課題となっています。
一方、アルトコインはイーサリアムをはじめ、前述のリップルやソラナのように新しい市場ニーズに対応するための新しい技術を備えています。そのため、成長ポテンシャルが高く、短期的な利益を狙う投資家にとって魅力的です。しかし、アルトコインには市場の認知度や信頼性が低いものが多く、流動性の問題や規制リスクも伴います。
したがって、アルトコインに投資する場合は、各プロジェクトの技術的な特徴や市場での採用状況を詳しく調査することが必要です。たとえば、イーサリアムのエコシステムの成長やソラナの高速取引能力など、本記事で紹介しているような特定の強みを持つプロジェクトに注目すると良いでしょう。
総じて、ビットコインは安定した長期投資に向いており、アルトコインは高い成長ポテンシャルを狙う短期投資に適しています。投資家は、自身の投資目標とリスク許容度に応じて、ビットコインとアルトコインのバランスを取りながら投資戦略を立てることが重要です。
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